ShortBox Comics Fair 2023 振り返り

毎年10月、ShortBox Comics Fair という電子コミックの同人(?)オンラインイベントがあります。個人的に、日本マンガに影響を受けた様な海外マンガとか、バンドデシネとか好きなので、こういうイベントもチェック。

 

www.shortboxcomicsfair.com

 

今年もその時期が近づいてきましたので、昨年の作品を振り返ります。なお、表紙・サンプルと短い紹介文からフィーリングで選んだので、買わなかったものに名作があった可能性もあります。買った中でのマイベストを紹介します(引用タグ内は私が書いたあらすじです)。

 

第1位 「Ocean」 by Lucie Bryon

タイムパトロールの二人組トゥーツとブーツ。任務で現代のフランスに来るが、通信機が壊れて帰れなくなってしまう。ひょんなことで美容室で働くことに。そんな生活にも慣れたある日…。

この作品大好きで、何度も読み直してしまった。ストーリーのテンポがよく、キャラがかわいい。ストーリーが進む毎の2人の感情の機微、読了感も良い。シリーズがあったら全部読みたい。

 

第2位 「World Heist」 by Linnea Sterte

二人の大盗賊タイガー(呪いで猫の顔を持つ)とタスク(子供の体に取り付いた生きている魔術)。「過去を見る目」を使って、栄華を誇った「国」を盗もうとするが…。

英語も世界観も難しくて意味が取れているか自信ないけど、「読めない(日本語とか)異国の本みたいな」って作品内にも書いてるのでそれで良いのかも…? 壮大なファンタジーの一編という感じで、全ページが美しい。実際異国の絵本みたいで、本棚に置きたい。

 

第3位 「It All Ends With Me」 by LaweyD

古城に住む女王と王女とメイド。王女に厳しく、恐しい女王に認められたくて、王女はメイドの助けを借りて、隣国の王と王子がやって来た際に料理を作る…。

ゴシックホラー調で、全ページが美しい美術品。始終不穏なストーリー(美術メインでストーリーは少しだけど)で、オチも凄い。雰囲気系の映像美のアニメで見たい(80年代にこんなのなかったっけ)。

 

特別賞 「A Three Body Problem」 by Tan Juan Gee

宇宙船の作業員イオ(アンドロイド)。船外作業中、自分と同じ顔の死体が宇宙空間を漂っているのを発見する。何とかつかまえた名刺を頼りに、その住所に行ってみると…。

アンドロイドが主人公の、大企業の陰謀も絡んだSFミステリー。ブレードランナー攻殻機動隊に親しんでいるとネタとしては目新しくはないけど、オチまできれいにまとまっていて、短編集に収録されてそう。タイトルがうっすらネタバレ。

 

特別賞次席 「LEAVE YOU BE」 by Barbara Mazzi

都市を守るドームの外を探索する権利を争う宝探しゲーム。ジュン、アーヤ、ダルトンの3人組で参加するが、ジュンの個人的な想いは空回り、ダルトンはマイペースで…。

海外マンガやゲームでたまにあるダイバーシティ的な描写が少し気になるけど、主人公ジュンが感情的で熱血で、でもいいキャラなんですよ。テーマが少しちらかってるけど、前向きで読了感もよい。

 

番外編 「Pearl Hunting 山女のはらわた」 by Hana Chatani

村の人気者アン、異国から来た美しい女性。少女シャオダンもアンにあこがれているが、一緒に真珠取りに行った際、アンから「ロマンチックじゃない」人魚の伝説を聞く…。

ほんわかした絵柄に比して、ホラーテイスト。オチは読めるけど少し哀しい読了感よく、どちらかというと昔話っぽい(日本昔話もけっこう残酷な話あるよね)。作者は日本出身、ニュージーランドの方。