Nスペ「医師の偏在」

12/21放送 NHKスペシャル「医療再建 医師の偏在 どう解決するか」

個人的な印象を含んだ要約

「妊婦たらい回し事件」などで、救急医療の崩壊、医師不足が顕在化した。

臨床研修制度が悪い。以前は医者になると同時に科を決めて医局に入り、医局が医師の再配置を担っていた。現在は臨床研修の終了後に科を決めるため、過酷な科(小児科など)はそれを経験した研修医に敬遠され、診療科の偏在が起きた。一方、形成外科はたくさん人が入ってウハウハ、教授は満面の笑み。

昔は開業医は夜も診療所にいて休日夜間診療を担っていたが、今の医者には期待できない。

自由開業、自由標榜が悪い。若い勤務医が楽な科を標榜して開業。外科医が、内視鏡内科で開業。美容皮膚科で開業した女医は、大学病院では苦渋を味わったが、開業してウハウハ、化粧テカテカ。

ドイツは日本と違い、国のシステムで医師が配置され、開業が制限されている。都市で開業できず、郊外で開業したある家庭医。休日夜間診療も義務。「最初は不愉快だったが、今はやりがいを感じている」

(ここで私に時間外労働が発生し後半が見られなかった。奈良での県主導のセンター化の取り組みが紹介されたり、スタジオで強制的な医師の再配置が議論になったらしい。)

個人的な感想

以下、NHKは一見ライブ番組や自由討論番組に見えても用意周到、やらせであるという主観に基づく。

スタジオの研修医が、研修医代表みたいな顔して予定調和のつまらぬコメントをし、「自分が大事」な今どきの若い医者イメージを助長させていた。一方、「患者代表」には医療事故の被害者を置いて、流れ無視の自己主張コメントを許していた。

研修医同士の飲み会まで取材して、もともと小児科を目指していた人でも現場を見た後に敬遠してしまう点についてコメントを取ってるのに、問題の現場についてはあっさりスルー。敬遠する側の問題らしい。

そもそも医師の偏在を前提としており、一面を取り上げてそれが主要であるかの様に見せる印象操作を感じた。医療崩壊がテーマのドキュメンタリーで、自由開業、自由標榜の制度がこれだけ前面に出てくるって、どんだけ。

御用放送局的に、医師の強制再配置で現状が解決する様な論調にリードし、いつの間にかそれが定説である(誰かさんが反対するから実現しない)とする布石。臨床研修を1年に短縮する政策の肯定と後押しもバックグラウンドにあるのかも知れない。

※「臨床研修に関するアンケート調査 - 新小児科医のつぶやき」を見ても、(アンケートの結果でなく、実施された意義から)そろそろ医師強制配置法案が出てくるとしか思えない。

途中までしか見ておらず、番組的に結局どうなのかという点は踏まえていないし、妄想も含む。