後輩に、知識と体験を伝える

一線で仕事をしてるつもりなのだが、立ち位置的に、下に「教える」ことも仕事みたいになってきた。2年目で初めて後輩ができて以来ずっと我流でやってはきたのが、そろそろ適当では済まなくなってきた。

成人教育理論とかコーチングとか方法論は色々あって、かじった程度だから伝え方も上手でないのは確か*1。でも、「何を伝えるか」というコンテンツのところでいつも難しさを感じている。

特に「on the job training」の場面では、求められるのは経験や知識に基づいた具体的な判断と、具体的な方略。一方、教える側としては、バックグラウンドをすっ飛ばした「結論」は意味がないと思ってしまうから、くどい話、「教科書的」な抽象的な話になってしまう。恐らく流されていると思う*2

大学などには大抵「名物講師」がいて、催し物の様に人気の授業を担当している。名物講師にはその人たるネームバリューがあって、その人ならではの体験を伝えるのが技量なのだろう。一方、教科書的なことを上手に伝えるのが、予備校講師の技量。高校の頃「教科書に書いてることはしゃべらない。行間を教える」という先生がいて、自分はその授業が大好きだったけど、周りは寝てた。今思うと大学入試予備校としての高校ではなく、大学向きの先生だったのかも知れない。

研修医の頃の上司に「魚はやらない。魚の捕り方を教えてやる」と、ひたすら座学的な勉強につき合わされたことがある。すごく「できる」人だったので、当初は上司の時間を使って教科書的な勉強をするのがもったいないと思ったけど、膨大な座学のベースがあって、その上司の実践が生きてるのが滲み出ていた。今もその経験には感謝しているが、同じことを自分はできない。

数年後には放っておいてもその後輩が到達するであろうポイント≒今の自分から、目新しくもないことを教えるだけの簡単なお仕事をしつつ、何とか自分に「ネームバリュー」が付けられないかなと思う今日この頃。

*1:必用に迫られて絶賛勉強中…。

*2:自分が教わる立場だった経験を省みても。